[空の便箋、空への手紙]
  
  読みかけの本からこぼれた 古ぼけた1枚の手紙
  宛先と切手を添えただけの
  受け取り手の無い 可哀想な手紙
  
  「元気ですか?
   変わりないですか? そちらには少し慣れましたか?
   出会いから丸1年ですね。
   慣れない手紙は少し照れますね。」
  
  その先が読めないの 滲んで読めないの
  色褪せるのが恐くて 筆を走らせる
  馬鹿な私を見て貴方は笑うかしら?
  それとも一緒に泣いてくれるのかしら?
  
  あの日貴方を奪ったアスファルト
  菊の花束 謹んで添えた手紙
  
  さよならも言わないで 消えていったズルイ人
  残された私 壊れた映写機みたい
  我侭で強がりで でも優しくて繊細な
  貴方を忘れない 映し続ける…